社員の通勤ニーズを理解することは、貴社の社員にとって魅力的な通勤手当および関連する福利厚生を検討するための手がかりとなります。今回のブログでは、オランダの雇用主が提供する通勤手当とその基礎知識ついてご紹介いたします。

通勤手当の支給は義務ではない

まず雇用主として知っておくべきことは、オランダでは雇用主は社員に対して通勤手当を提供する義務はないということです。しかし、通勤手当の支給は多くの雇用主にとって標準的であり、オランダのほとんどの求職者は雇用主からの通勤手当の支給を期待しています。

通勤手当の計算方法

雇用主は、社員の日々の固定的な職場~自宅~会社の通勤に対して、通勤手当を非課税で支給することが可能です。オランダの法人税制のもとでは、1キロメートル毎に€0,19を非課税上限として通勤手当を支給することが認められています。その場合、通勤手当は(自宅~会社間距離片道/km X 2)×€0,19×労働日数で計算することができます。

しかし現在、COVID-19や在宅勤務の実施により、社員は毎日オフィスへ通勤する必要がなくなりました。それによりオランダでは税制が変更され、通勤手当を非課税で支給するには、社員が年間36週または128日以上通勤していることを証明することが必要になっています。

公共交通機関の利用料金の払い戻し

公共交通機関の利用料金の払い戻しには、実費の払い戻しと、定期券の払い戻しの2つの方法があります。

雇用主は公共交通機関の利用料金を非課税で社員に払い戻すことができますが、従業員はチケットなどの証拠、または「OV chipkaart」(オランダの交通ICカード)の利用履歴を会社に提出する必要があります。

また社員によっては、定期券を購入することを好む場合もあります。定期券購入費用は雇用主が負担できますが、その場合非課税として扱うことができるかの確認が必要です。そのためには、定期券の月額プラン(または年間プランの12分の1)の価格が、社員が割引なしでチケットを通常購入した場合の費用と同額以下であるかを確認します。定期券の価格が結果的に通常購入した場合より高くなる場合、通常価格との差額は課税対象となるため注意が必要です。

NSビジネスカード

NSビジネスカードの利用は、オランダの通勤においてはとても一般的です。NSビジネスカードは、電車、バス、NS自転車、カーシェアリング(Greenwheels)など、あらゆる公共交通機関を利用しての通勤・業務上の移動を可能にします。NSビジネスカードは、小規模の企業(1~5人)から大企業(250人以上)まで、様々な規模の企業が利用できるオプションがあります。詳しい概要は、こちらからご覧いただけます。また、NSビジネスカードを使用する場合も非課税としての扱いができるかは確認が必要であり、確認のために社員の通勤・出張の際の使用記録が必要です。

社用車

出張や顧客訪問が発生する職種では、仕事を効率的に行うために社用車が必要な場合があり、社用車を提供することはオランダでよく見られる慣行です。社用車の場合、オランダの多くの企業は、車をリースし管理するためのリース会社を利用します。

外国からの進出企業の多くが利用するリース会社は以下です。

リースにかかる費用は会社の収益から差し引かれ、また付加価値税の控除対象になります。社員にリース車を提供する場合、当該社員のその他の通勤・交通関連の手当は課税対象となります。社用車を利用する場合の通勤手当は、当該社員の年間走行距離が500kmまでの場合、非課税とみなされます。それ以上となる場合は、社員は社用車の私的使用のための費用(bijtelling)を支払う必要があり、雇用主も給与計算の際にその控除が必要です。私的使用の課税額は、BPM、CO2排出量、オランダでの車の定価の総合的評価により決定されます。

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