オランダ現地でのビジネスの成功に必要な人材を採用し、それらの人材を自社に引き留めておくためにも、雇用主として現地の水準に見合った適切な報酬を提供することはマストです。

今回のブログ記事では、これからオランダで人材の採用を検討している日本企業の担当者様へ向けて、オランダの2022年最新平均給与情報を職種別にお伝えします。

ここで紹介する給与情報は、PayScaleおよびLinkedInサラリーインサイトのオランダ固有のデータに基づいた情報です。また、紹介されている給与情報はすべての産業/セクターと求職者の経験値レベルを包括的に考慮したものとなります。

金融職

ファイナンシャルアナリスト(若手~中堅レベル)

ファイナンシャルアナリストは、企業の資本構造、そして全体として、株主の価値を最大化するために企業がどのように資金を調達するかということに関わるポジションです。

年収レンジ:32,000ユーロ~68,000ユーロ

ファイナンシャルアドバイザー/ファイナンシャルプランナー(中堅~上級職レベル)

ファイナンシャルアドバイザーは、アナリストの洞察をもとに、実行可能な計画や企業の長期的な財政戦略を策定する役割を担います。オランダでは、ファイナンシャルアナリストまたはファイナンシャルアドバイザーの役割を外部の金融機関のコンサルタントに委託することが一般的です。また、その場合、コンサルタントは基本給に加えてコミッションを受け取ることも一般的な慣行となっています。

年収レンジ:25,000ユーロ~49,000ユーロ

ローンオフィサー(若手~上級職レベル)

ローンオフィサーは、ローンの借り手の固有のリスクを評価・査定し、プロセス全体を通じて支援を行う役目を担います。一般的に、オランダでは一部の銀行のみが実際にローンオフィサーという肩書きを使用しています。金融会社の場合、タイトルにアナリストが入っているものがこの職務に最も近いものとなります。

年収レンジ:28,000ユーロ~65,000ユーロ

会計士/ファイナンシャルコントローラー(若手~上級職レベル)

キャリアを積んだ会計士は、会計のスキルを磨いたり、会計の知識をもとに他の財務管理の職務に就くことがあります。会計学の知識は、銀行など規制の厳しい分野を除き、一般的に業界や業種に関わらず応用ができます。

年収レンジ:30,000ユーロ~77,000ユーロ

インベストメントマネージャー (若手~上級職レベル)

インベストメントマネージャーは、企業の投資戦略を策定し、またそれを展開することに関わる職務です。長期的な戦略と企業の現在の財務状況の管理を担うファイナンシャルアドバイザーとは異なり、インベストメントマネージャーは主に企業の投資ポートフォリオの開発と管理に責任を負います。

年収レンジ:40,000ユーロ~121,000ユーロ

営業職

セールスマネージャー(中堅~上級職レベル)

セールスマネージャーの役割は、企業によって大きく異なります。統合的な営業戦略を持つ企業に勤めるセールスマネジャーは、複数の営業チームを監督する責任を負います。小規模な営業チームを持つ企業では、部下の成果に対して責任者としての役割をもちます。下記は、基本給と歩合給を含んだ年収レンジです。

年収レンジ:32,000ユーロ~153,000ユーロ

新規開拓営業/ビジネスデべロップメント (中堅~上級職レベル)

新規開拓営業の仕事は、新市場やターゲット顧客の特定から、社外ネットワーキングまで、あらゆる任務を含みます。そのため、新規開拓営業の給与は、業界と仕事の内容によって大きく異なります。他社競争が激しく飽和状態の業界では、新規開拓営業の給与は通常より高くなります(特に、人材が業界内のコネクションを持っている場合)。営利企業では歩合制が一般的ですが、非営利団体では基本給が高く設定されています。

年収レンジ:34,000~102,000ユーロ

インサイドセールス(若手~中堅レベル)

インサイドセールスとは、対面や直接訪問営業ではなく、電話やソフトウェアを利用して営業活動を行う者のことをいいます。インサイドセールスは、一般的に営業職が初めての人材が就くポジションです。企業によっては、目標を達成したインサイドセールス担当者に歩合給を提供することもありますが、これは特に標準的な慣行というわけではありません。

年収レンジ:24,000ユーロ~53,000ユーロ

既存顧客営業/アカウントマネージャー(若手~上級職レベル)

企業間取引において、既存顧客営業はすでに取引のある顧客との関係を維持する役割を担っています。企業によっては、既存顧客営業がそれぞれ各自の売上目標を持つこともあり、その場合は目標を達成した場合に追加報酬が与えられます。下記は基本給のレンジとなります。

年収レンジ:26,000ユーロ~68,000ユーロ

マーケティングマネージャー(中堅~上級職レベル)

マーケティングマネージャーは、主に製品、サービス、ブランドの認知度向上とプロモーションを担当、統括する役割を担います。

年収レンジ:30,000ユーロ~88,000ユーロ

技術職

ソフトウェアエンジニア (若手~上級職レベル)

ソフトウェアエンジニアという肩書きは、多くの異なる役割を含む包括的な用語であり、プログラミング言語に関連しています。

年収レンジ:30,000~72,000ユーロ

コンピュータエンジニア(若手~上級職レベル)

コンピュータエンジニアは一般的に、企業のITインフラを構成するハードウェアとソフトウェアの両方を管理および設計する責任を負います。

年収レンジ:23,000~80,000ユーロ

データエンジニア/インフォメーションエンジニア(中堅~上級職レベル)

オランダでは、データの収集・保存・分析または運用のための準備を行うことを データエンジニアリング と呼びます。データエンジニアは通常ITチームの一員であり、ビジネスのデータウェアハウスやビジネスインテリジェンス用途のデータを収集することに責任を負います。

年収レンジ:33,000ユーロ~72,000ユーロ

インダストリアル・エンジニア(若手~上級職レベル)

インダストリアル・エンジニアは、コスト削減を最大化するために、複雑なプロセスや技術システムを最適化する役割を担います。この業務に専念するエンジニアは、そのエンジニアが担当する特定のプロセスやシステムに応じて、「プロセスエンジニア」、「システムエンジニア」等と呼ばれることがあります。

年収レンジ:34,000~105,000ユーロ

機械エンジニア (若手~上級職 レベル)

機械エンジニアは一般的に、コンピューター言語ではなく、数学や物理学を使って問題を解決します。オランダでは、機械エンジニアは自動車、航空宇宙、製造、およびオートメーション産業で活躍しています。

年収レンジ:29,000ユーロ~62,000ユーロ

ビジネスサポート職

人材コンサルタント(若手~上級職レベル)

人材コンサルタントは、人材を募集し、採用する役割を担います。通常、企業担当者との採用条件の確認、面接アレンジまで、採用プロセス全体に携わります。オランダでは、人材紹介会社で働く人を通常「リクルーター」と呼び、自社の採用担当については、「タレントアクイジションスペシャリスト」と呼びます。

年収レンジ:23,000~59,000ユーロ

人事/HR (若手~上級職レベル)

人事担当者は、従業員の福利厚生、給与計算、採用戦略の策定・実施、社内規定の作成、休暇管理などを管理・監督する役割を担います。近年では、人事部の役割は業績評価やスタッフが長期にわたり会社に留まるための取り組みなどにも広がっています。

年収レンジ:25,000ユーロ~65,000ユーロ

法律コンサルタント (中堅~上級職レベル)

法律コンサルタントは、一般的に法律コンサルタント会社を通じて企業と契約または雇用されることが一般的です。オランダでは、規制の厳しい分野で事業を展開する企業は、一般的に社内に法務担当者を雇います。

年収レンジ:33,000ユーロ~89,000ユーロ

ビジネスアナリスト (若手~上級職レベル)

ビジネスアナリストは、企業のビジネスニーズを特定し評価する役割を担います。また、市場調査やビジネスプロセスの評価を行い、ビジネスチャンスと解決策を提案します。通常、ビジネスアナリストは経営コンサルタント会社を通じての請負、または間接的に雇用されます。

年収レンジ:30,000~69,000ユーロ

オランダの年齢別平均給与

オランダでの平均的な年収は、年齢で決まります(経験値と相関があるため)。労働者の年齢は給与額を決定する際に考慮される指標の一つです。以下が、オランダの最新年齢別平均給与となります。

  • 15~25歳:22,500ユーロ
  • 25~45歳:48,800ユーロ
  • 45~65歳:53,800ユーロ
  • 65歳以上:39,000ユーロ

出典:Centraal Bureau voor de Statistiek 年齢別平均給与統計2020(暫定版)

従業員の給与の設定でお悩みですか?オクタゴン・プロフェッショナルズではオランダの日本企業様の最適な給与体系の構築をお手伝いいたします。オランダの給与相場、また在蘭日本企業の給与情報に基づいたコンサルテーションを希望される場合は、こちらのフォームより日本語でお問い合わせ下さい。

欧州ビジネスを始めたい方必見・2023年 オランダ就労ビザ 最新ガイド

オランダは、法人税が20~25%と他の欧州の国々と比べて低く設定されていることなどから、欧州事業展開の足がかりとして拠点を設けるには最も戦略的なロケーションです。では、実際にオランダ現地で事業を行うには、どんなビザの選択肢があるのでしょうか?このブログでは、就業目的でオランダに移住を検討している方のために、2022年現在、オランダが提供している全てのビザと居住許可証、および申請条件をまとめています。

解説 :オランダの解雇手続き

解雇-それは誰にとっても簡単なことではありません。解雇されるスタッフ本人にとっては勿論のことですが、オランダでの解雇手続きにまったく馴染みのない雇用主や人事担当者にとってもそれは同様です。今回のブログ記事では、オランダ雇用主に認められている範囲内での解雇プロセスを説明していきます。

オランダビザにまつわる俗説とその真偽

今回のブログ記事では、オランダのビザ取得に関して巷でしばしば耳にする俗説のその真偽に迫っていきたいと思います。今後オランダ赴任や移住を検討されている場合、ご自身が現在知っているオランダビザに関する情報が正しいものかどうか、今一度確認してみてください。

今最も低リスクで、効率的・効果的なオランダ進出方法「EOR」とは?

海外進出の初期段階においては、ビジネスに直結する業務に専念することが成功の鍵ですが、実際には新規市場での法律やコンプライアンス遵守のための業務に手間を取られることが多いのが海外進出の現実ではないでしょうか。そうした海外進出初期段階の課題を解決する戦略的な手段として、海外雇用代行サービス(EOR: Employer of Record)は、近年、オランダそして欧州へ進出する企業の間で広く普及しています。今回のブログでは、この海外雇用代行サービスが日本企業のオランダ進出プロセスをどのように支援することができるのかをご紹介します。

オランダにおける有期雇用 VS 無期雇用

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分かりやすい・ オランダの健康保険基本ガイド

オランダへの赴任準備をされていますか?オランダの健康保険制度は、その質と革新性において世界でも高く評価されている一方、世界のその他の国の制度とは異なっているのも事実です。実際に、日本からの多くの駐在員の方々は、オランダの医療制度をあらかじめよく知らないために、赴任してきてから混乱することが多いようです。今回のブログでは、オランダの健康保険制度について分かりやすく説明していきます。

分かりやすい・オランダの厚生年金制度

2020年、マーサーの2020 Global Pension Indexによると、オランダは「最高の総合年金制度」において1位を獲得しました。オランダでは公的年金基金、厚生年金基金、個人年金基金の3つが年金制度として存在します。今回のブログでは厚生年金に焦点を当て、なぜ手配する必要があるのか、どのように設定するのか、また役立つリンクなどをご紹介していきます。

オランダで雇用する社員に国外リモートワークを許可するときの注意点は?

オランダの多国籍なビジネスコミュニティにおいて、日本人やオランダ国外出身の社員を企業が雇用していることは今日珍しいことではありません。そもそも、オランダの企業に勤める社員がオランダ国外からリモートで仕事をすることは可能なのでしょうか。今回のブログ記事では、オランダの雇用主としてのリモートワークのセットアップに関するプロセスについて、またその際に人事担当者が留意すべきことをご説明します。