予防は治療に勝り、温存は雇用に勝る。企業にとっては、新しい従業員を探すよりも、すでに組織を知り、満足し、キャリアのチャンスがあることを知っている従業員を維持する方がはるかに魅力的です。必要なスキルを適切なレベルに引き上げるためオンボーディングやトレーニングの時間やコストは言うまでもありません。

これに、現在人材不足が深刻である(そして欠員は余っている)という事実が加われば、リテンションがかつてないほど重要になっている理由がはっきりします。リテンションとは人材流出を防止する施策のことで、近年注目されている企業内人事の施策の一つです。一体良いリテンション戦略とは具体的にどのようなものでしょうか?また、何が何でも従業員を引き留めなければならないということなのでしょうか。この記事ではリテンション戦略を成功させるための5つのヒントを挙げています。

1.リテンションは人選から

良いリテンション施策は、まず人選から始まります。現在、多くの組織が候補者のスキルや経験を重視していますが、心理的な要素、つまり、その人がどのようなパーソナリティを持っているか、その人が問題のチーム内でどのようにフィットするか等に重きを置くことを検討する価値があります。その理由は2つります。まず第一に、私たちの仕事は変化しており、必要とされるスキルも変化しています。しかし、将来どのようなスキルが必要とされるかは必ずしも明確ではないため、一般的に定義されたスキルに基づいて選考することが賢明です。例えば、分析的思考はかなり一般的なスキルであり、いくつかの職務で役立つ可能性があります。性格的特徴に重点を置くべきという2つ目の主張は、定着率に関わるものです。企業文化に適合し、チームの他のメンバーと個性を補完し合える人材を選ぶことで、新入社員が活躍できる職場環境の条件を整えることができます。満足度の高い従業員は、他所に逃げ込む可能性が低いことが知られています。

2.成長の可能性

ある従業員が現在社内で満足しているからといって、自動的に1年後も満足しているとは限りません。あらゆる人間関係がそうであるように、雇用主と従業員の関係もまた投資です。雇用主がこれを行う方法のひとつは、(個人的な)成長の余地を提供することです。実際、従業員は常に新しい挑戦や自己成長の機会を求めていると考える必要があります。そして、雇用主がそのニーズに応えられない場合、彼らは他を探すでしょう。

人材開発プログラムや研修の機会を活用することで、雇用主は社内に成長の機会があることを明確にすることができます。ある程度は柔軟に対応し、研修やコースが強制的なものだと思われないようにしましょう。しかし同時に、特定の知識やスキルの習得が長期的に仕事の観点から何をもたらすかを明確にすることが重要です。

3. 企業文化に投資する

企業文化は人材の獲得と維持に重要な役割を果たします。そのためこれに投資することが重要です。午後にペイントボールの企画したり、一緒に食事をしたり、風刺画の講習会を開いたり、何でも構いません。しかし、そのような活動に興味のない社員が常にいることも念頭に置く必要があります。したがって、少なくとも活動の種類にはバラエティを持たせ、例えば毎回スポーツの遠出を選ぶようなことは避けることもアイディアの一つです。

しかし、親密な企業文化を発展させるには、時折チームビルディング活動を行うだけでは不十分です。例えば、管理職や経営幹部には、リーダーシップ能力を磨く時間と機会を与えるといいでしょう。従業員にとって、直属の上司との関係は、組織内でどのように感じているかを示す最も重要な指標です。そのため、従業員の定着率はこの点に大きく左右されます。また、オフィスランチ、フレックスタイム制、プライベートでノートパソコンなどのビジネス・テクノロジーを使用できるオプションなど、非常に現実的な事柄も組織内の文化に貢献しています。

4.たまには手放す

常に全員を満足させることができるというのは幻想であり、場合によっては手放し、従業員に別の道を歩ませた方が賢明なこともあります。従業員をなだめ続けることは、同僚の顔をゆがめることにつながるだけでなく、こうした余分なことが「余分なこと」ではなく「標準的なこと」とみなされる文化にもつながる場合もあります。さらに、不満を持つ従業員は職場の雰囲気にも悪影響を及ぼしかねます。自分の憂鬱を他人に伝染させる同僚ほど、仕事の満足度にとって致命的なものはありません。その場合は、手放すことがモットーです。

5. 構造と明瞭さをつくる

最後のヒントはリテンションに関する構造化された方針を確保することです。さらに、従業員やマネジャーにとっても明確なものとなる。利用可能なトレーニング予算や、さらなるトレーニングの選択肢をここに記録しておく。また、フィードバックのプロセスについても検討しましょう。

オクタゴンでは、ビジネスに最適な結果をもたらすようなオンボーディング、オフボーディング、リテンション戦略の構築を専門としています。もしこちらにご興味があれば、遠慮なくご連絡ください。貴社独自のニーズに合わせたカスタマイズ戦略をご提案させていただきます。

著者 Naomi Krosenbrink