オランダの多国籍なビジネスコミュニティにおいて、日本人やオランダ国外出身の社員を企業が雇用していることは今日珍しいことではありません。昨今のリモートワークのかつてない普及の中で、そうした外国籍の社員を抱える企業では、母国からのリモートワークをベネフィットとして提供するケースが多くみられるようになりました。そもそも、オランダの企業に勤める社員がオランダ国外からリモートで仕事をすることは可能なのでしょうか。答えはイエスです。しかし、世界のどこからでも、またあまり長い間働けるわけではありません。今回のブログ記事では、オランダの雇用主としてのリモートワークのセットアップに関するプロセスについて、またその際に人事担当者が留意すべきことをご説明します。  

検討事項  

社員のオランダ国外からの勤務を許可することは、必ずしも一筋縄ではいかないケースであり、慎重に検討する必要があります。 オランダ国外からのリモートワークに関するポリシーを導入する場合、雇用主は各国のイミグレーションや税制に関するすべての情報を明確に事前把握しておく必要があります。それ以外にも、長期的な海外リモートワークが貴社のビジネスに適しているかどうかを判断するために、雇用主として検討すべき事項がいくつか存在します。 

以下は社員のオランダ国外からのリモートワークを許可する際に検討が必要な事項です。 

  • オランダとリモートワーク先の間の移動手段 
  • オランダ国外からリモートワークを行う社員に安全で健康的な労働環境を提供すること 
  • 集団労働協約(CAO)が要求する在宅勤務基準の遵守(該当する場合) 
  • オランダ国外からリモートワークを行うスタッフに対する保険 
  • オランダ国外からリモートワークを行う場合の労働時間に関する規定、およびコミュニケーション方法(病気、残業など) 
  • リモートワークを行う場合の他の社員への伝達について 
  • 183日ルールの遵守(下記参照)

長期のリモートワークは、社員に多くの利点をもたらす一方、許可を下す前に、社員のそれぞれのケース(下記参照)をあらゆる側面から理解することが重要です。それをしない場合、雇用主として大きな罰金やオランダ移民局(IND)によるビザスポンサー資格を失う可能性も考えられ、また社員もオランダでの在留資格を完全に失う可能性さえもあります。 

オランダ国外からのリモートワークを希望する社員のケースを把握する 

まず、最も重要なことは、社員がどの程度の期間、海外に滞在するのかを理解することです。その上で、納税と移民法の観点から確認すべき事項が存在します。例えば、オランダの居住許可証を保有する外国人社員は、オランダ国内で過ごす日数よりも多くの日数を海外で生活することはできません。社員のケースを明確に把握するために、以下の質問に対する答えを確認してください。 

オランダ国外に滞在する予定の具体的な期間

  • 保有しているビザまたは滞在許可証の種類
  • リモートワーク先の国
  • 当該社員のオランダでの資産・財産所有の有無
  • リモートワーク先の国とオランダとの間での租税条約締結の有無

社員が数ヶ月のみオランダ国外からリモートワークを行う場合でも、リモートワーク先の国の法律を確認することが重要です。リモートワーク先の国の定める義務に従わないことは、貴社のビジネスにとってリスクとなる可能性があるためです。 

183日ルール 

二重課税を避けるために、オランダは諸外国と租税条約を締結しています。これらの租税条約のほとんどは、社員が物理的にその国にいるかに関係なく、その人が雇用契約を締結している国に所得税を支払うと定めています。しかし同時に、これらの条約では、どの国に税金を納めるかを決定するための「183日ルール」も定められています。簡単に言うと「 183日ルール」とは、労働者が年間183日以上働いた国に所得税を納めるというものです。つまり、社員がオランダが租税条約を締結している国からリモートワークを行った場合、滞在期間が183日以内であれば、オランダに税金を納めることになります。183 日を過ぎると、リモートワーク先の国は貴社の社員の課税年度所得すべてに課税できるようになります。

オランダが租税条約を結んでいる国の最新リストはこちらでご覧になれます。 

社員がリモートワークを行う先の国と租税条約を締結していない場合、オランダの税制法を確認し、社員の給与から所得税を徴収しなければならないかどうかを確認する必要があります。もしイエスの場合、当該社員はオランダ給与からの所得税の納税に加え、リモートワーク先国での追加納税義務を負うことになります。これには、賃金税、国民保険料、被雇用者としての保険料が含まれます。

オランダ税務当局(Belastingdienst)は、オランダと租税条約を結んでいるすべての国のリスト(オランダ語)と源泉徴収の対象となる賃金に関する情報を公表しています。

オランダ進出する外国企業のための人事サービス

リモートワークはますます増加傾向にあり、オランダでは今や職場で提供される福利厚生のひとつとなりつつあることは周知の通りです。特に、オランダ国外出身の社員を雇用している企業であれば、海外からのリモートワークの機会を提供できることは社員にとって魅力的で、また他社の福利厚生パッケージとの差別化にもつながります。コンプライアンスに則ったリモートワークのセットアップを検討されている在蘭日本企業様は、ぜひオクタゴン・プロフェッショナルまで一度ご相談ください。 

Learning Dutch in the Netherlands

オランダで生活するためのオランダ語学習にまつわる話 

高い英語の普及率をもつオランダでは、ほぼ全ての身の回りのことを英語のみでやり過ごすことができます。オランダ語を習得するということは、単に現地の言語を操るということではなく、オランダ人との人間関係の構築や、日常生活を通じてオランダ社会の一員として周りと繋がることを意味します。

Dutch visa and work permit

オランダのビザや労働許可にまつわる5つの俗説

日本国籍を持つ場合、入国ビザを申請する必要はない?パートナーシップビザを取得するためには結婚またはパートナーシップ登録をしなければならない?オランダで働くためのビザと滞在許可にまつわる5つの俗説について説明します。

Absenteeism interview

欠勤面接または長期病気休暇のチェックインに関するアドバイス

雇用主には従業員に対する注意義務があります。従業員が長期病気休暇を取得した場合、効果的なコミュニケーションとオランダ労働法に遵守して対応することが重要です。目標は、サポートを提供し、敬意と法的なアプローチを維持し、最終的に従業員の準備が整ったときに職場復帰を成功させることです。

Absenteeism interview

従業員が病気休暇を取得した際の欠勤面接の行い方 

オランダの労働法上、病気休職中の従業員と効果的にコミュニケーションを取ることは、円滑かつ法的に遵守されたプロセスを確保するために非常に重要です。共感を示し、オープンなコミュニケーションラインを維持し、規則を遵守することが重要です。こちらに関してよくある質問にお答えし、私たちの経験から得たヒントをお届けしたいと思います。

Retention

リテンション 人材の流出を防止するには

予防は治療に勝り、温存は雇用に勝る。企業にとっては、新しい従業員を探すよりも、すでに組織を知り、満足し、キャリアのチャンスがあることを知っている従業員を維持する方がはるかに魅力的です。必要なスキルを適切なレベルに引き上げるためオンボーディングやトレーニングの時間やコストは言うまでもありません。リテンションとは人材流出を防止する施策のことで、近年注目されている企業内人事の施策の一つです。

Remote work

オランダで雇用する社員に国外リモートワークを許可するときの注意点は?

オランダの企業に勤める社員がオランダ国外からリモートで仕事をすることは可能なのでしょうか。答えはイエスです。しかし、世界のどこからでも、またあまり長い間働けるわけではありません。今回のブログ記事では、オランダの雇用主としてのリモートワークのセットアップに関するプロセスについて、またその際に人事担当者が留意すべきことをご説明します。  

The Netherlands as an attractive destination for expats

オランダが外国人労働者にとって魅力的な目的地である理由 

オランダへの移住を決断する理由を探しているなら、この記事はまさにそれらの紹介です。勉強するにしても、起業するにしても、新しい仕事の方向性を模索するにしても、風車とチューリップの国は素晴らしい候補先です。オクタゴンがその理由をご説明します。

Dog friendly office

ドックフレンドリーな職場の重要性 

日本でも度々ペット可の職場を見かけることがありますが、オランダの職場ではペットは単なる飼い主の出社への付き添いではなく、重要な従業員と広く認識されています。この記事ではオクタゴンの取り組みとドックフレンドリーな職場の重要性について解説します。