オランダは、法人税が20~25%と他の欧州の国々と比べて低く設定されていることなどから、欧州事業展開の足がかりとして拠点を設けるには最も戦略的なロケーションです。では、実際にオランダ現地で事業を行うには、どんなビザの選択肢があるのでしょうか?このブログでは、就業目的でオランダに移住を検討している方のために、2022年現在、オランダが提供している全てのビザと居住許可証、および申請条件をまとめています。

2022年、オランダへ赴任、現地事業立ち上げおよび就業を予定されている日本人の皆様、是非ご活用ください。

高度スキル保持者ビザ(Kennismigrant)

高度スキル保持者ビザ(Highly Skilled Migrant) は、EU 域外からオランダへ就業するビジネスパーソンのビザとして、最も知られているビザの 1 つです。このビザは、エントリーレベル以上のポジションをEU以外の国からスタッフを呼び寄せ雇用する場合に最も適しています。このビザを取得するためには、企業とスタッフの両方が下記に示した要件を満たしている必要があります。

  • スタッフが EU/EEA またはスイスの国籍保持者ではないこと
  • 雇用主は、INDの認定スポンサーとして登録されていること(または、雇用代行企業を通じてスタッフを雇用する)
  • 雇用契約期間が、スタッフの仮滞在許可証の資格を得るための十分であること
  • 雇用主は、以下の基準を満たす給与総支給額(休暇手当を除く)をスタッフに提供すること(給与基準2022を参照)

** 減給基準は、以下の場合に適用されます。

  • オリエンテーションイヤービザが有効な期間に居住許可を申請し、その直後に高度スキル保持者ビザを申請した場合

詳細については、公式サイトをご覧ください。

ヨーロピアンブルーカード(Europse Blauwe Kaart)

ヨーロピアンブルーカードは、EU圏外の高度な技能を持つ人々がヨーロッパで生活し、就業するためのEUとして提供しているビザです。ヨーロピアンブルーカードは、オランダの高度スキル保持者ビザに比べ、より厳格な申請基準を設けていますが、おおよそ同様の要件を満たすことが必要です。

ヨーロピアンブルーカードのもとでは、オランダに限らず、ヨーロッパであれば居住場所をより柔軟に選択できるという利点があります。上述の高度スキル保持者ビザの要件に加えて、以下の追加要件を満たすことが求められます。

  • スタッフが少なくとも修士号(または外国の同等の学位)*を取得していること
  • 雇用主は1年以上の雇用契約を該当スタッフへ提供すること
  • グロス月給5,670ユーロ以上であること(休暇手当を除く)

詳細については、公式サイトをご覧ください。

*修士号でなくとも、外国で取得した学位が同等としてみなされる場合があります。海外の学位については、こちらをご確認ください:

企業内転勤者ビザ(Intra Corporate Transferees)

グローバルに事業を展開する企業では、スタッフを世界各地の支店に派遣する場合があり、その際に企業内転勤者ビザを申請することができます。

EU域内移動の枠組みにより、このビザのもとでは、スタッフは英国、デンマーク、アイルランドを除くEU加盟国の支店から別の支店に移動することも可能です。申請時にスタッフが満たす必要がある条件は以下となります。

  • スタッフが現在EU圏外に設立された企業によって雇用されていること
  • スタッフがオランダ支店の業務運営に不可欠な人材である、または
  • スタッフが研修生である(修士号を取得していること)
  • 企業は、高度スキル保持者の申請基準を満たす給与総支給額(休暇手当を除く)をスタッフに提供すること

詳細については、公式サイトをご覧ください。

シングルパーミットビザ(GVVA)

シングルパーミットビザ(オランダ語でGVVA)は、労働許可証と滞在許可証が組み合わされたものです。この許可証は、EU/EEA およびスイス以外の国からオランダに最低 3 ヶ月滞在する予定の就労者を対象としており、必ずしも「高度スキル保持者」の基準に合致するとは限りません。

このシングルパーミットビザを利用しようと計画している雇用主が満たさなければならない要件は以下のとおりです。

  • 申請前に少なくとも5週間、シングルパーミットビザを利用しようとしているスタッフのポジションの求人広告をオランダ現地で出していること
  • 企業がIND公認スポンサーであること(または、雇用代行企業を通じてスタッフを雇用する)
  • スタッフが最低賃金以上の収入を得ること(休暇手当は除く)

以下は、シングルパーミットビザを申請できる職種の一覧です:

  • 研修生または見習い
  • 調理師、シェフ
  • 芸術・芸能関係者
  • スピリチュアルカウンセラー、僧侶
  • 非営利団体のスタッフ
  • プロスポーツ選手・アスリート
  • 季節労働者

詳細については、公式サイト をご覧ください。

オリエンテーションイヤービザ(Zoekjaar Visa)

オリエンテーションイヤービザは、過去3年間に学位取得または科学研究を行い、オランダでの就職を希望するすべての若い卒業生または博士号取得者を対象としています。このビザを取得した者は、12 ヶ月間オランダに居住し、就労することができます。このビザは個人で申請することができ、申請要件に雇用契約は必要ありません。

オリエンテーションイヤービザを取得するためには、申請者はオランダで以下の条件のいずれかを満たしている必要があります。

  • 学士または修士課程を修了していること
  • 修士課程修了後1年以上経過していること
  • エラスムス修士課程で修士号を取得していること
  • ·科学的研究または博士号を取得していること

また、トップ200の大学(2022年のランキングはこちら)で修士号を取得すれば、事前にオランダに住むことなくオリエンテーションイヤービザを申請することも可能です。

オリエンテーションイヤービザの期限が切れると、INDが要求する要件を満たしている場合、高度スキル保持者ビザを申請することができます。この場合、高度スキル保持者ビザの申請に必要な給与に減給基準が適用されるため、雇用主にとってもメリットがあります。

出典:https://ind.nl/en/work/working_in_the_Netherlands/Pages/Looking-for-a-job-after-study-promotion-or-research.aspx

自営業者ビザ (Zelfstandig Ondernemer)

オランダで自営業者として就労する場合も、それに対応するビザを申請することができます。

自営業者ビザは、オランダでフリーランサーとして働きたい、または現地の事業に投資したいと考える個人に最適です。 会社の 25%以上の持分を占める取締役および株主も「自営業者」とみなされ、このプログラムによる滞在許可証の申請が可能です。 このビザは最長 2 年間有効で、それ以上の延長も可能です。

オランダ経済省の一部門であるオランダ企業庁(RVO)は、自営業者の事業が革新的でオランダの経済に利益をもたらすかどうかをポイント制で判断し、ビザの発給を行います。最大ポイント数は300点です。各基準について、30点以上のスコアを獲得することがビザ発給要件となります。具体的には、以下の3つの基準に基づいて判断が行われます。

  • 個人の経歴:ビザ申請者は、学歴や職歴、オランダ国内での勤務経験、過去12ヶ月間の収入証明などの書類を提出する必要があります
  • ビジネスプラン:オランダでの事業プランは、このビザを申請において最も重要視される部分です。これらには、組織構造、財務および商業計画、コンプライアンス、市場分析が含まれます。
  • オランダ経済への付加価値:この基準では、オランダ市場では見つかりにくい独創的なビジネスアイデアであるかどうか、かつオランダ経済の成長に貢献する可能性があるかどうかが判断されます。雇用機会や投資については、1~1.5年以内に実現することを示す必要があります。

フリーランサーの場合:オランダで少なくとも1件の委託業務があることを証明することが求められます 。

医療従事者の場合: BIG-register (Individual Healthcare Professions)に登録されていること。

出典: https://ind.nl/en/work/working_in_the_Netherlands/Pages/Self-employed-person.aspx

スタートアップビザ(Verlijfsvergunning voor Start-up)

スタートアップビザでは、会社を立ち上げるための準備期間として1年間の期間が与えられます。このビザにより、起業家は自営業ビザの要件を得るために、事前に1年間事業の発展に時間を費やすことができます。このビザは、商材またはサービスが革新的であるとみなされ、「ファシリテーター」と呼ばれるオランダのビジネス・メンターによって承認された場合にのみ発給されます。このファシリテーターは、申請者のビジネス・プランを詳細に検討し、スタートアップ事業をサポートする役割を持ちます。

スタートアップビザを取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 事業が革新的かつ実行可能で、拡張性があること
  • 信頼できる経験豊富なファシリテーターと協力する必要があります。RVOのウェブサイトから、それぞれの業界や企業タイプに特化したファシリテーターを見つけることができます。
  • アイデア立案からビジネスの立ち上げまで、段階的な計画が立てられていること
  • 申請者とファシリテーターが商工会議所(KvK)の貿易登録簿に登録されていること
  • オランダに1年間居住し、生活するための十分な資金力があること。これを証明するために、銀行取引明細書または他の法人(ファシリテーター)から滞在期間中の資金提供を受けたことを証明する書類を提出することが求められます

ファシリテーターとの提携については、一定の条件を満たしていることが必要です。

  • 革新的なスタートアップ企業を指導した経験のあるファシリテーターであること
  • 財務的に健全であること
  • 管財人、破産者、自己資本がマイナスではないこと
  • スタートアップ企業の株式の過半数を保有していないこと
  • 申請者の親族ではないこと(子、親、祖父母、叔父叔母の3親等まで)

出典: https://ind.nl/en/work/working_in_the_Netherlands/Pages/Start-up.aspx

その他のビザ

この記事で紹介したいずれのビザの申請条件にも当てはまらない場合でも、その他様々なビザがあります。EU圏外の人がオランダで生活するために申請できるビザには、他に就労者のパートナーや配偶者としてのビザ等、雇用者によるスポンサーを必要としないビザもあります。

オランダのビザとその要件に関する詳細については、INDのウェブサイトをご覧ください。